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パリオ! Il palio di Siena [sportivo]

Il palio di Siena 16 agosto 2006 da Rai Due
今年もシエナ名物、パリオの夏です。

騎手は鞍もあぶみも無しで裸馬にまたがります。
時代装束の観光客向けのお祭りなどと思ったら大間違い。とてもシビアなレースです。

現地で観たかったのですが、忙しくて今年はTV観戦です。TV画面を撮った不鮮明な写真ですがお許しください。
パリオはシエナのカンポ広場Piazza del Campoで年2回、7月2日と8月16日に開催されます。前者はシエナに聖母マリアが出現したとされるプロヴェンツァーノの祝日を、後者はイタリアの最も重要な祝日の一つ聖母被昇天祭を祝うものです。
第1回の開催は1283年。実に700年以上の歴史ですが、イタリアに数ある歴史的な催しの中で最も古い姿を保ち、今も地域に密着し続けている希有な例です。
簡単に言うとシエナの中心、カンポ広場を3周する時間にして僅か1分半ほどの競馬です。
騎手はコントラーダcontradaと呼ばれるシエナの17の「教区」=地域区分を代表しています。
各コントラーダはドラゴン、カタツムリ、貝…などの名前で呼ばれ、それぞれ美しくデザインされた旗と紋章をもっています。興味のある方は☟などをご参照ください。
http://www.comune.siena.it/main.asp?id=933
競馬に先立って、中世の衣装を身にまとった各コントラーダの人々が、それぞれの地区から集合し広場を行進します。ズバンディエラトーリsbandieratoriと呼ばれる旗振りの妙技も素晴らしいのですがそちらのご紹介はまたの機会に。
7月と8月の各レースの出走枠は10。
7枠は前年出走出来なかった教区、残り3枠は前年出走の10教区の中から各レース毎に抽選で決めます。今年8月16日のパリオは1頭の馬が故障したため、9頭のレースとなりました。騎手たちはくじ引きで決まった馬に乗ります。


スタートはちょっと変わっています。
2本張られたロープの間に8頭の馬が並び、最後の1頭(左を向いている)がその外側、後ろにいます。
その騎手がタイミングを計って後ろのロープを越えた瞬間、手前のロープがはずされスタートとなります。
そのタイミング、駆け引きもあってなかなか微妙。前列の馬がきちんと並ばなかったり飛び込むスペースをふさがれたりで何度も仕切り直します。出走まで2時間以上かかる年もあるそうです。時間制限のなかった頃の大相撲の仕切りみたいです。


40分もたってついにスタートと思ったらフライングでした。


そしてさらに10分後、本当のスタートです。外側9頭目の馬が飛び込んだ瞬間です。


9頭目の馬(緑とオレンジの騎手)は大外からフル加速!


そのまま一気に先頭に立ちます。


広場の外周、石畳の上に土を盛った狭いコースを3周します。


F1モナコGPを彷彿させる難コース。TV画面からも迫力が伝わってきます。


一度もトップを譲らず


素晴らしい快走で


そのままゴール!
後方で2、3着の位置にいた馬が接触、落馬しているのですが、画面には映っていません。興奮して早くもコースに飛び出してきた人も。


そしていつもの大混乱。手前に騎手を振り落とした馬。


騎手(ヘルメットの人)はもみくちゃになりながら上っていきます。


その先には勝者に与えられるパリオ(絹布に毎年有名画家が絵を描いたもの)。今回はティーノ・ステファノーニTino Stefanoniの作品。

Autore:Tino Stefanoni
ティーノ・ステファノーニのホームページ☟
http://www.tinostefanoni.com/
彼の作品はOPEREをクリック

Drappellone/Dedica:All'UNESCO in occasione del 60° anniversario della fondazione dell'ONU.
パリオの作品は以下のページで紹介されています☟
http://www.ilpalio.org/stefanoni.htm

パリオの過去の結果は☟
http://www.ilpalio.siena.it/
1283年から2006年までのパリオで過去最多優勝の教区は“Oca”(ガチョウ)で62回、このパリオに優勝した“Selva”は36回で同率9位。でも過去10年に限ると3回優勝で1位…などの「トリビアの泉」的知識の宝庫です。
こちらも同様のサイト☟
http://www.ilpaliodisiena.com/
パリオの歴史など文化的な情報は☟
http://palio.comune.siena.it/main.asp?id=0

2006/08/16のパリオの結果
優勝教区:セルヴァ(森林とくに栗林の意味)
優勝騎手:サラッソ(アルベルト・リッチェリ) 1975/10/06シエナ生まれ <過去10回騎乗うち優勝2回> 優勝馬:カーロ・アミーチ 馬主;アルベルト・マネッティ  性別;去勢馬 毛並;栗毛 馬種;混血 <初出走 初優勝>  競技のスターター:ダニエーレ・マサーラ  Data 16/08/2006; Contrada;Selva Fantino: Salasso (Alberto Ricceri ) Nato il: 6 ottobre 1975 a Siena  Cavallo: Caro Amico (di Alberto Manenti) Sesso; Castrone Manto; Baio Razza; Mezzosangue Mossiere: Daniele Masala


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あーろん

TVの画面を撮ったとは思えませんよ
実際現地にいたらレースとしての臨場感は難しいので
逆にこれはとっても面白かったです。
馬、故障した場合のためのリザーブはいないんですね
くじ引きで漏れた地区の騎手の人がかわいそう(笑
ちなみに放送枠は何時間とってあるんでしょうか?
by あーろん (2006-08-22 18:28) 

plot

あーろんさん、
イタリアのTV局は信じられないほど大らかです。突然画面が暗転、何も写らず暫くして何事も無かったように(お詫びのテロップも無しで)放送再開なんて日常茶飯事。プログラムのずれ込みも前提でアバウトに決めてあるのかな?ただカメラマンや映像を的確に切り替える技術者は極めて優秀です。サッカー中継での数秒スポットCMの差し込み方など惚れ惚れします。イタリア職人の技芸、健在なりという感じです。
by plot (2006-08-22 18:50) 

TaekoLovesParis

TV画面なんですか。順番に見ながら、読みながら観戦モードで楽しみ
ました。なかなか出頭できないところが、、、なんとも言えませんね。
広場3周というのが700年の歴史を感じさせますね。狭いし、距離は短いしでスリルがありそう。イタリア国旗の色の服の騎手が優勝したんですね。
by TaekoLovesParis (2006-08-22 20:28) 

裸馬で競争。危険なレースと思いきや迫力のあるレース。
しかしスタートするタイミングが難しく何回もやり直し、日本人だと我慢できないでしょうね(爆笑)
初めてのレースの写真を見れて改めてブログのすばらしさを思う。
by (2006-08-22 20:38) 

たのしみました。ものすごいレースですね☆
by (2006-08-22 23:10) 

yk2

この記事で、自分の誕生日がシエナでは祝日なんだと教えて頂けました。
ちょっと嬉しい(^^。

カンポ広場にこれだけの人が集まるのもすごいですよね~。実際行ってみるとそんなに大きい広場じゃないのになぁ。
それと、走行コースには土が入っているようですが、あそこって石畳じゃなかったっけ・・・?。昔からわざわざ土を入れてレース開催??。

普段静かなシエナの街も、この時はほんとに大騒ぎなんでしょうね。
フィオレンティーナとのゲームの日もかなりな大騒ぎらしいですが・・・(笑)。
by yk2 (2006-08-23 01:05) 

toraneko-tora

1283年~って言うと700年以上の歴史があるんですね  へぇ~
観客もすごい・・・・現地で見たいですね
by toraneko-tora (2006-08-23 08:05) 

匁

福井洋一さん こんばんは。
伝統の競馬ですね。
日本で言うと何になるんですかね?
宇和島の闘牛ですかね?
それとも相馬の馬追いですかね?

それにしても いくら 配当があったのですかね?
by (2006-08-23 20:17) 

裸のお馬じゃ、落馬しないで乗るだけですごい苦労しそう^^;
そして、観客の興奮振りが又、イタリアらしいですね。
何年も違う国同士が集まっていたこの国では、ほんと、
国ごとにいろいろな祭りがありますね。
by (2006-08-24 00:18) 

おはようございます^^
今朝ほどはお越し頂きありがとうございました。
これを見て思ったのは『やはりサッカーなどに強い、狩猟民族なんだ』と言うことでした。なかなか日本が頑張ってもああいう競技に勝つことは難しいでしょうね。
by (2006-08-24 06:02) 

masugi

はじめまして。ご訪問有難うございました。
鞍なしで乗るとはすごいですね~。最後の方はもはや
闘牛のような熱気を感じました☆
by masugi (2006-08-24 11:09) 

お散歩爺

私はローマから南にしか行ってないのでシエナのこの行事は知りませんでした
勇壮且つもの凄い観客の競馬に驚いています。テレビでも奇麗に写しましたね
これじゃ~素人が行っても最前列には入れないですね。
by お散歩爺 (2006-08-24 15:03) 

chi-ran

先程はご訪問ありがとうございました~。
牛追い祭りなどもなんだか本気で危険なお祭りですけどw これまたっ^^;
面白いですw こういう感覚^-^
by chi-ran (2006-08-24 23:46) 

Bijoux

おぉぉ。迫力ですなぁぁぁ^^
TVで観ても大興奮!って感じですね(笑)
by Bijoux (2006-08-25 20:25) 

ツカ

わ~♪日本の競馬とは違ってて楽しそ~♪
迫力と興奮が伝わってきました!^^
by ツカ (2006-08-26 03:49) 

いっぷく

シエナのカンポ広場に実際に行っていたら、観戦する方もエネルギーが要りそうですね、早く走れば走るほど急カーブですね。
先行して逃げ切りのほうが有利のようですね。
by いっぷく (2006-08-26 12:44) 

小野寺榮一

個人の利益でなく、地域の名誉を掛けて、走る。
日本人が忘れかけている、地域の役割、絆を強く長く守る伝統ですね。

コスチュームや旗のデザインもとても美しいく個性的ですね、守る伝統の大切さ感じました。
by 小野寺榮一 (2006-08-27 08:39) 

plot

皆さん、コメントやnice!ありがとうございました。

Taekoさん、今年はTaro君家でTV観戦だったのですがとても興奮したので、デジカメを取りに戻り、何度も再放送される画面を撮りました。仕切り直しも含めて筋書きのないドラマというところですが今回は優勝した騎手、サラッソの筋書き通りと言えそうですね。

nekoさん、イタリアの乗馬学校では裸馬に乗るカリキュラムがあるようです(日本はどうなんでしょう?)。こちらも長老さんたちの様子を見ながらブログのすばらしさを思っています。

panda_pandaさん、毎年パリオを見るためにシエナを訪れる人も多いようです。その時期のカンポ広場に面するホテルの予約は何年も先まで一杯ですから。

yk2さん、<誕生日がシエナでは祝日>だったんですね。おめでとう!どちらも聖母マリアにちなむ日ですね。去年パリオの後の日曜日に訪ねたら優勝した地区の人々が嬉しそうにパレードをしていました。コースに土を入れてレース後に取り除くのは大変な手間だと思いますが、こういうことのためには手間を惜しまないのですね。日本にだってそういうお祭り命の人々は存在しますけど。

toraneko-toraさん、1283年は弘安六年、と言ってもピンときませんが2度目の元寇の役が弘安四年ですからそうとう長い歴史ですね。やっぱり<現地で見たい>ですよね。

tigerkitaさん、宇和島の闘牛も相馬の馬追いも知らないので恥ずかしいです。こっちにいると日本について無知なのが身にしみます。今はインターネットがあるお陰で急場はしのげますが(^^:。<配当>たしかに気になっていろいろ調べているのですがどうやら馬券というものは(ヤミは分かりませんが)存在しないようです。マリア様に捧げる神聖なお祭りということのようです。

あやっぴぃさん、とくにあぶみは必要ないのかな?とも思いますが、Taro君が通っている乗馬スクールでも走っている裸馬の上で4才児にあぐらをかいたり後ろ向きに座ったりという訓練をしていますから、バランスをとって馬の動きと一体になる基礎がしっかりしているのでしょうね。まだまだ知らないお祭りが多いです。近くの村に大きなチーズを転がすレースがあるとかでそちらも訪ねたいと思っているのですが。

mimimomoさん、オシムさんには是非頑張ってほしいですね。日本にも侍の伝統がある筈ですが江戸の平安が長すぎたのでしょうか。お陰で文化は豊かになりましたけど。

masugiさん、最後はかなり無茶苦茶になってますね。考える前に走り出すというやつでしょうか。

旅爺さん、たしかに<素人が…最前列に>入るのは大変です。大体広場の中に陣取ったら終るまで身動き出来ません。コースを横切ることもできないしひたすら我慢です。幸い広場自体が斜面になっているのでコースの一部は中央からでも見ることは出来ます。

ちえさん、なにか不思議な原初的な興奮の感覚ですね。<牛追い祭り>の本気さとも通じるかも知れません。実際落馬も多く結構危険をはらんでます。

Bijouxさん、<TVで観ても大興奮!>ってまさにそのとおり。RAI という局は日本で言うとNHK。全国ネットの実況中継ですがかなりの視聴率だったと思います。

ツカさん、<日本の競馬>中継、あの淡々とした中継もなかなか味があるとは思いますが、馬が疾走する非日常性というところが決定的に違います。

いっぷくさん、一番良いのはカンポ広場を取り囲む建物のどこかに陣取ってワイングラス片手に高みの見物…ですが、そういうシチュエーションを実現するためには、広場の雑踏の中の体力勝負以上に、別の種類のエネルギーが要るかもしれません。

eiichiBOXさんの<日本人が忘れかけている、地域の役割、絆を強く長く守る伝統>という感想、実際そのとおりですね。若者も含めて一年中という訳では無いかも知れませんが、この街に限らずイタリアの地域的な結びつきの強さは感じます。
by plot (2006-08-30 05:30) 

柴犬陸

すごい迫力ですね。
その場に居たら、とても興奮しそう。
でも、やっぱり怖いです。
by 柴犬陸 (2006-08-30 11:54) 

plot

柴犬陸さん、コメントありがとう。
お祭りは、まじめに真剣に取り組むほど興奮もするし面白いですね。
シエナのパリオを見ていつも感じるのはひたむきさです。それがどこからくるのかと考えるのですが、やはり地域のきずな、一体感からなのでしょうか。
by plot (2006-09-03 01:46) 

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