SSブログ

ウィーンからプラハへ その1 [Giro d'Europa]

ウィーン経由でプラハを訪れました。
ウィーンには友人のお宅があります。
時々お邪魔して壁画を描かせて頂いているのですが
完成までまだだいぶかかりそう。
ウィーンには楽しい誘惑も多すぎて(^^:。

僕にとってその誘惑の最大のものは

略称 “khm” =ウィーン美術史美術館
Kunsthistorisches Museum Vienna
http://www.khm.at/

ウィーン美術史美術館/khm,Kunsthistorisches Museum

ウフィッツィ美術館にあってkhmにないもの
その1は、入場を待つ長蛇の列。
世界3大美術館のひとつ(後の2つはルーブルとウフィッツィ)
と言われるにもかかわらず、いつも、
すっと入れてゆったり観賞できます。
ウフィッツィにkhmの爪の垢を煎じて飲ませたい。
ウィーンへの旅行者は、
美術以前に、
音楽とか他の目的がたくさんあるからかも知れないけど。

始めて訪れたのは2003年の春、
サリエラ盗難という大事件の直前でした。
サリエラはその後、発見され↓
http://blog.so-net.ne.jp/firenze/2006-01-25
修復もそろそろ完成かなと思ったのですが、
公開まではまだ時間がかかるとの事。

ベンヴェヌート・チェッリーニ
「サリエラ」(塩入れ)

Benvenuto Cellini (1500-1572)
Saliera 1540-1543
Gold, covered in part by enamel; base: ebony
H 26 cm, W 33.5 cm

でももちろんkhmには、他にもたくさん見どころがあります。
例えば大ホールのクリムトの壁画


アーチと柱の間の空間に描かれています。


Egyptian Art 1890-91
Gustav Klimt(1862-1918), Ernst Klimt, Franz Matsch

素晴らしいエジプト美術のコレクションもあります。

yk2さんご執心の青カバも

Hippopotamus/  c.BC2000
L: 20,5 cm, W: 7,56 cm, H: 11 cm Faience, blue glaze, painted
yk2さんの記事はこちら↓
http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2005-12-05
http://blog.so-net.ne.jp/ilsale-diary/2005-11-25

アルチンボルド「夏」も

Giuseppe Arcimboldo(1527?1530-1593)
Summer 1563
Oil on Limewood   67 x 50.8 cm

ロレンツォ・ロッド「青年の肖像」も

Lorenzo Lotto (1480-1556)
Portrait of a Youth Against a White Curtain 1508
Wood   42.3 x 35.5 cm

マンテーニャ「聖セバスティアヌス」も

Andrea Mantegna(1430/31-1506)
St. Sebastian 1457-59
Wood  68 x 30 cm

フェルメール「芸術家のアトリエ」も


Johannes Vermeer "van Delft" (1632-1675)
The Artists Studio 1665-66
Canvas 120 x 100 cm

そして「R氏の肖像」のお手本にした
パルミジャニーノのとても小さな「凸面鏡の自画像」
実際に凸面に加工した木製パネルに描かれています。

Parmigianino(1503-1540)
Self-portrait in a Convex Mirror 1523-24
Segment of a wooden sphere /Diam. 24.4 cm

まさに名作の宝庫です。

しかしそれにしても
ブリューゲルは集まり過ぎ!

もし火事にでもなったらどうするの?と言いたくなります。
スプリンクラーとか防火体制は完璧だとは思うけど…。
でもサリエラ盗難事件でも想像できるように、
khmには、
ちょっと間抜けなところもあるような気がするし…

ウフィッツィ美術館にあってkhmにないもの
その2は、入口のセキュリティチェック。
EU加盟後も中立の国是を守り、
ブッシュの十字軍にも参加しなかった自信の表れか。

…はともかくブリューゲルに話を戻します。


ピーテル・ブリューゲル(大)
「バベルの塔」
Pieter Bruegel the Elder (1525?30-1569)
The Tower of Babel 1563
Oil on oak panel, 114 x 155 cm


「嬰児虐殺」
The Slaughter of the Innocents 1565-66
Oil on panel, 111 x 160 cm


「ゴルゴダの丘への行進」または「十字架を担うキリスト」
The Procession to Calvary/Christ Carrying the Cross 1564
Oil on oak panel, 124 x 170 cm


「謝肉祭と四旬節の喧嘩」
The Fight between Carnival and Lent 1559
118×164.5cm


「農民の婚礼」
Peasant Wedding c. 1568
Oil on wood, 114 x 164 cm


「子供の遊戯」
Children's Games 1560
Oil on wood, 118 x 161 cm


「農民の踊り」
Peasant Dance 1568-69
114×164cm

…まだまだあるのですが。

なかでも一番好きなのはこれかな?


「群れの帰還」(10〜11月?)
The Return of the Herd 1565
Wood 117 x 159 cm

夏から秋に放牧していた高原から、牛達を連れて里に下る。晩秋の農民の生活を描いています。気に入っているのは牛のデッサン。
富裕な商人ニコラース・ヨンゲリンクに依頼された連作の一つ。
全6点の月暦画(2ヶ月毎に1枚)と推測されるのですが、現存するのは5点。
そのうち3枚がkhmに集まっています。
(失われたのは4〜5月の分とされています。)

メイコの一番のお気に入りは

「雪中の狩人」(12〜1月?)
Hunters in the Snow  1565
Oil on panel, 117 x 162 cm


「暗い日」  (2〜3月?)
The Gloomy Day 1565
Oil on panel, 118 x 163 cm
2〜3月と推測される根拠は右下に謝肉祭を祝う人々が描かれている事などから。

他の2枚は

メトロポリタン美術館の

「トウモロコシの収穫 」(8〜9月?)
The Corn Harvest c. 1565
Oil on wood, 118.1 x 160.7 cm
Metropolitan Museum of Art, New York
こちらは未見です。

そしてプラハの

「干し草作り 」(6〜7月?)
Haymaking c. 1565 
118×160.7cm
The Roudnice Lobkowizc Collection, Lobkowicz Palace, Prague
(この作品はかつて一度日本でも展示されて、雑踏の中で出会ってはいるのだけれど)

「干し草作り」に再会するのも今回のプラハ旅行の目的の一つです。

にほんブログ村 美術ブログへ

Webサイト“KAGOMEトマトキッチンスタジオ”で
メイコが夏野菜をつかったトスカーナ家庭料理をご紹介しています

      

「トスカーナからミルクの贈りもの」
メイコ イワモト著 集英社刊 定価:1,680円(税込) 好評発売中!





nice!(46)  コメント(27)  トラックバック(1) 
共通テーマ:アート

nice! 46

コメント 27

foretーbourgogne

ウィーンを訪ねなくても済んでしまう充実感。ブリューゲルのコレクションに凄味も感じるけど……一番のお気に入りとなりそうなのは、多分マンテーニャの「聖セバスティアヌス」かな(この人のこと、実は何も知りませんが)と思っています。
入場料も払わない入場者をおゆるしください……。
by foretーbourgogne (2007-07-02 23:43) 

nicolas

ウフィッツェで行列に並んだ経験ありますけど、まだ日本より
良かった・・という感想でしたが上には上が・・世界は広いです。
すごい濃い内容でしたー
自分的には、宗教画よりもこうした市井の農民だったりする
日常生活にひどく惹かれるので、楽しみながら眺めました。
人間の生活が愛しいと感じられるような絵がいいですねー
どれも、いい♡ 特に「雪中の狩人」と「農民の踊り」が好きです。
by nicolas (2007-07-03 00:33) 

julliez

ステキステキ、全部見入ってしまいました。
好きなものとは別に、農民の結婚って面白いですね。
そのままの喧騒が収穫時期の大食堂の有様に続いているようで微笑ましいです。
by julliez (2007-07-03 00:46) 

Inatimy

ブリューゲルは、ブリュッセルの王立美術館で見ました。
「ベツレヘムの戸籍調査」という絵があるんですが、なぜか同じようなものが2枚。 最初は分かりませんでしたが、父の作品とそれを模写した長男の作品。 同じ名前だから紛らわしいですよね。 数は、はるかに少ないものの、比較して見られるのが面白かったです。
by Inatimy (2007-07-03 00:47) 

newyork

これらの名画がみんなkhmにあるのですね!感動しました。メトロポリタンのその絵、今度見に行ってみます(見たことあると思うのですが、残念ながら覚えていないので)。アルチンボルド「夏」、面白いですね。思わず笑ってしまいます。「バベルの塔」、実際に見てみたいです!
by newyork (2007-07-03 00:48) 

うわ~ブリューゲルがいっぱい~こんなに一度に見れるなんて
シアワセですね。うーん ぜひ行ってみたいところが またひとつ。
by (2007-07-03 00:56) 

ぱふ

生ブリューゲルは、まだ見たことありません。
一度じっくり見て、物語を勝手に妄想したりしてみたいです★
by ぱふ (2007-07-03 01:15) 

クリムトって、像も作っていたのですね。そして、フェルメール!パソコン画像で見ても迫力です
by (2007-07-03 01:48) 

pace

私が行ったのは確か74年かな
「芸術家のアトリエ」はやはり嬉しい
「雪中の狩人」がやはり印象深い
ウフィッツェでも並ばなかった覚えが
・・・・・・・って古すぎるか?!
by pace (2007-07-03 02:50) 

本でよく見ていた作品ばかり、芸術作品の宝庫ですね。
生で見たくなります。
by (2007-07-03 07:33) 

柴犬陸

スケールが違いますね。
ゆったり見られるというのも羨ましいです。
やはり、バルミジャニーノの自画像と対面してみたいです。
「Rの肖像」を間近で観ている幸せをここでも味わってみたいです。
by 柴犬陸 (2007-07-03 09:22) 

本当ですね!ブリューゲルがいっぱい!
そのうえじっくり見られるなんて、すごくいいです。
ウィーン、いつか行ってみたいなぁ。
by (2007-07-03 12:15) 

yoku

ブリュウゲルの絵、何枚か見覚えがあります。
「農民の婚礼」「嬰児虐殺」そして有名な「バベルの
塔」。そのほか何枚か。それにしても壮観ですね。
by yoku (2007-07-03 20:55) 

noriko

あぁ・・・nice!たくさん押したい♡
フェルメールご覧になったんですねぇ。。。。
そして、青カバもブリューゲルも。
いいなぁ・・・
by noriko (2007-07-03 23:27) 

kotobuki1946

日本にも立派な歴史ある美術品があるのに、ヨーロッパの美術品は”凄い”
と思ってしまう。 豪華さがあるからですかね。 舶来崇拝主義からですかね。
by kotobuki1946 (2007-07-03 23:30) 

ミカチ

アルチンボルドとフェルメール、見に行きたいです~。
車で行くには結構遠いですし、ウイーンは近いようで遠い場所です。
by ミカチ (2007-07-04 02:15) 

yk2

さすがハプスブルク家のコレクション、名品揃いなのですね。
khm、行ってみたいですー。
いえ、青いカバに会いたいからだけじゃなくって・・・(笑)。
洋一さんご執心のサリエラも見てみたいし、もちろんフェルメールも見てみたいし。

それにしても「聖セバスティアヌス」。
この画題についての物語は知らないのですが、ちょうどパルマ展の図録にもヨサファット・アラルディと云う画家の同テーマの物が掲載されておりまして(そちらはおでこに矢が一本)、ただでさえ「痛タタ~」と思っていたのですよ。そしたらこのマンテーニャ・・・。刺さり過ぎです、これ(苦笑)。
by yk2 (2007-07-05 00:11) 

お散歩爺

これだけ凄い名画を並べたら家に居て美術館に行ったようです。
バベルの塔は昔から聞いていますがこんな形でしたか。
凄い数の人々の絵はよく描いたものだと感心します。
by お散歩爺 (2007-07-05 07:36) 

りゅう

「ウィーン美術史美術館所蔵 栄光のオランダ・フランドル絵画展」(04年:上野)でフェルメール「芸術家のアトリエ」を鑑賞しました♪(^o^)丿
その時に購入した額絵(500円)が今も部屋に飾ってあります。
久しぶりに図録を開いてみようかな。。。
ブリューゲル「バベルの塔」観たいです!!(^_^)/
by りゅう (2007-07-06 22:50) 

Bijoux

うぉ。青カバさーん(喜)
Bijouxも好きスキー♪
758でルーブル所蔵(だったかな?)のエジプト展が
あった時に観にいきましたょー^^
by Bijoux (2007-07-08 15:06) 

鈴木浩司

マウスをスクロールさせただけですが、ウィーン美術史美術館の館内を散策した気分になりました(^^)なんか絵が見たくなったので過去の記事をたどらせてもらっていたんですが、一年前の今日はTaroさんの家やフィレンッエの街(イタリア全土?)が大騒ぎだった日でした。。あと、前後しますが、マニクールは98年に訪れました。何かの話でフェラーリが勝つとボローニャ郊外の教会の鐘が鳴り響く。その鐘の音でフェラーリの勝利を街人が祝う。
なんか、いいな~・・
by 鈴木浩司 (2007-07-11 00:19) 

ツカ

青カバきれいだー♪(≧▽≦)ノ
バベルの画、観てみたいです♪
by ツカ (2007-07-15 16:23) 

ぴい

子供の頃うちにあっただまし絵の本にアルチンボルトありました。
妙~に魅かれた思ひ出が・・・
by ぴい (2007-07-18 12:59) 

さくママ

ロシアの有名な2つの美術館には昔行きましたが、
ウィーン・・・いいなぁ~やっぱり行きたいなぁ~w
・・・って、バックパッカーですけどね(^^;)
by さくママ (2007-07-20 07:17) 

 ヨーロッパを股に掛けての活動、すごいなあと思います。
油絵って、きちんと保管すれば何百年と持つんですよね。
美術館や博物館は歴史&文化の宝庫ですし、
惹かれるお気持ちがなんとなく分かります。
 「塩入れ」はどっから塩を入れるんだろう?とか、
ロレンツォ・ロッドさんがお描きの青年は格好いいなとか、
ものすごく俗っぽいことを考えてしまいました(スミマセン・・・)。
by (2007-09-10 21:47) 

jyoji-san

Buona sera. Mi piace queste pitture.
ウイーンに行くたびに決心する事・・・・それは、ブリューゲルの絵を観て帰ること。いつも思って行くのに今回もまた・・・・駄目でした。
しかし次回の楽しみにもなります。(こんなノーテンキなこと言ってるから何時までたっても観れません) しかし行かれた方の説明に導かれながらこれ等の絵を観るととても幸せだし、次回観る時に「これがメイコさんの好きな絵なんだ」と思ったりして違った楽しみもできます。(笑)
朝の美術間めぐりができました。
Buona notee.
Ciao!
by jyoji-san (2007-09-19 09:09) 

plot

皆さま、この記事にもコメント頂きっぱなしでお返事も遅れてごめんなさい。
たまに時間があるとADSLが調子悪かったり(今も超遅いです)で、なかなかタイミングがあいません。また後ほど試してみますね。
by plot (2007-09-19 17:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。