ガルガの壁画 その5 完成!? [アトリエから]
フィレンツェに戻りました。
素晴らしいブルガリア体験でした。
でも、そのお話しはまた後ほど。
ガルガの壁画、7日目の夜の続きです。
夜が更けるとともに筆が走るマエストロ。
画家としてのキャリア70年(!)。いったい何歳??
一面トルコブルーだったフルーツコンポートの背景に、
サント・スピリト教会と恋人たちを描いて
あっという間に完成。
仕事が速い!
厨房にオーナーシェフのジュリアーノ(ガルガ)が登場。
一方、マエストロは照明の光からインスピレーション。
高い位置に新たなモティーフを描き加えます。
にわかアシスタントに伝統的な壁画テクニックを教授しながら…
湿った太い刷毛(湿り具合がポイント)で描いたばかりの壁を擦り、
ハードエッジとグラデーションを描き分けるテクニック。
10年前、同じフィレンツェに文化庁から派遣されて研修していた時には、誰にも教わらなかった技法。
今回は乾いた壁なのでマエストロはデトランプ、僕はテンペラのアセッコ(a secco=乾式技法)で描いているのですが、本来は伝統的なアッフレスコ(affresco=湿式技法)にも用いるテクニックだそうです。
テーブルセッティングも整って
アルジェリア出身のサリムが作った本場のクスクス。
こんなに美味しいものだって知らなかった!
マエストロが描き加えたのは光から生まれた女神?
一段と華やかな部屋になりました。
ところで7日目の僕の壁はこんな感じで終わっていたのですが
翌朝まわりの壁は、すっかり様変わりしていました。
左の壁に新しく掛けられたのは別の画家のオラウータン(?)の絵。
下の赤い手すり状の物体も新たに描き加えられたもの。
前夜、マエストロが筆を置いたのは深夜2時過ぎとのこと。
こちらは前夜に撮った写真。(本来の色調は上の写真に近い)
オラウータンの絵の上のアーチ型は僕の絵の中に描かれたトロンプルイユと呼応しています。
その他の壁にもトルコブルーの面積が増えていました。
このトルコブルー、
僕の苦手なモダニズムを象徴する色のように感じて、
始めはどうしようかと思っていたのですが…。
マエストロとガルガは「トルコブルーと赤と黄色」について夜通し語り合っていました。
どうやらこのトルコブルー、
二人には特別な思い入れがある色のようです。
そうだとすると彼らの思いを裏切るのも気が引けます。
だんだん目も慣れてきたことだし、
ここはマエストロとガルガのセンスに敬意を表して、
苦手なトルコブルーの空に挑戦です。
8日目はとりあえずこんな感じに。
右のコーナーでは二つのアーチが逆円錐の光の立体のイリュージョン、
マエストロと僕の目論み。
左のコーナーには前日、休日にもかかわらずわざわざ出てきて一宿一飯ならぬ、昼と夜の「ニ飯」ご馳走してくれたサリムの像を描き加え、とりあえず完成です。
完成を祝して晩餐。
メインは名店「イル・ラティーニ」(=Il Latini※)のビステッカのテイクアウト(!)、ガルガの「顔」を効かせたウラワザ。
※池田夫妻の「ロトンダ・クラブ・イタリアーナ」(=Rotonda Club Italiana)の紹介記事はこちら↓
http://www17.ocn.ne.jp/~rotonda/firenze_illatini.html
翌朝、僕たちはブルガリアへ出発。
そしてルチアーノ・パヴァロッティが亡くなった9/6の夜、
ブルガリアから戻り、営業再開したガルガを訪れて、
スタッフ達と壁画に再会しました。
この夜のワインはボルゲリ。
壁画にも登場して頂いたYokoさんお気に入りは、
スパゲッティ・アッラビアータ。
二本目もボルゲリ。
そしてボッタルガ(イタリア式カラスミ)のスパゲッティ、ヴァカンツァから戻って元気いっぱいのエリオ作。
サリムが作った「まかない」と比べるとさすがに洗練度が違います。
トマトとイタリアンパセリはパスタに絡めず、周囲に飾られています。
桃のタルト。
ティラミス。ガルガはドルチの素晴らしさでも群を抜いています。
肝心の壁画については、ガルガ本人、スタッフ、常連さんも気に入ってくれたようだったのが、なによりでした。
問題は「自分も壁画に描いてくれ」というリクエストをたくさん頂いた事。
描くのは良いのだけどスペースがもう少し必要です。
こちらはガルガの古い友人の常連さん。最初に描き加えるべき人のひとり。
絵になりそうな顔で良かった!
…というわけで完成はしたけれど、まだまだ終わりそうもない予感。
最後にトラットリア・ガルガを簡単にご紹介しておきます。
「エノテカ・ピンキオーリ」「チブレオ」と並び称されるフィレンツェの三大名店の一つ。マドンナやロベルト・ベニーニもフィレンツェに来た時は必ず立ち寄る店。ダナ・キャラン御用達の彼女の名で呼ばれるスパゲッティもメニューにのっています。
もちろんドレスコードなどありませんし、とんがったおしゃれでも浮きません。ドレスアップでもダウンでも、思いっきり外したって(お店は充分暗いので)OKです。開放的な気安い雰囲気を裏切る充分高級な料金が唯一の欠点。
Trattoria Garga
Via del Moro 50-52/r Firenze (Fi)
Tel.;+39 055-2398898 Fax : +39 055-211396
19:30-0:00月曜休み
“KAGOMEトマトキッチンスタジオ”
メイコが夏野菜をつかったトスカーナ家庭料理をご紹介しています。
「トスカーナからミルクの贈りもの」
メイコ イワモト著 集英社刊 定価:1,680円(税込)
好評発売中!
壁画が生き物のように、どんどん進化していくのが楽しいですね。
縦書き漢字の署名も、いい感じ♪です。
by Inatimy (2007-09-10 06:09)
壁画は完成していない??
まだまだ進化するんですか。
周りも変わり、最初に比べると明るい壁画になりましたね。
どう変わるのか、今後が楽しみです。
by (2007-09-10 07:06)
刻々と変化する壁画、面白いですね~ 各コーナーが呼応していくのも
刺激的ですね。そしてお料理もおいしそう♪
by ぱふ (2007-09-10 09:49)
本当に素敵なお店ですね。。そして、これからも・・
料理も本当に美味しそう。夜と昼ではまったく別の店内の気がしました。
いつか行きたいな~
by 鈴木浩司 (2007-09-10 11:53)
とにかく製作過程が面白かったです!
ガルガ氏、雰囲気あるだけじゃなく、腕もすばらしいですね。
ボッタルカのてんこ盛り!アラビアータはペンネじゃなくてもいんですねー
私もいつか、この作品のしたで美酒をあおりたいです!
by nicolas (2007-09-10 14:46)
どんどん、変化していくさまがとても面白かったです!!
これから新しく書き加えられたりもするんですね。
ところで、ボッタルガ!好きなんです~!食べたくなりました!
by (2007-09-10 15:06)
ボルゲリ祭ですか~
素敵な食事と素晴らしい人たちに囲まれて最高の夜ですね。
by julliez (2007-09-10 16:08)
ボルゲリ2本って、いいでしょう~?って云われてるみたいな気分になります。くやしい・・・(笑)。
まかない#2のクスクスも美味しそう。
トラットリア・ガルガ、いつかほんとに行ってみたいですね~。
でも、「開放的な気安い雰囲気を裏切る充分高級な料金」はイヤだなー(苦笑)。
by yk2 (2007-09-10 21:37)
素敵な壁画に囲まれての料理いいですね。
by kotobuki1946 (2007-09-10 21:38)
絵もお料理も刺激的なセッション♪
いつかここで桃のタルトたべたい♡
ワインは・・・ボルゲリとまでは言いません(笑)
by noriko (2007-09-10 22:45)
はじめまして。
Blogを拝見して すごいなー素敵だなって本当に思いました。
ゆっくり眺めていたい世界だなーって思いました。
また読ませていただきますね。
by mellow (2007-09-11 21:28)
どのお料理も、そして、デザートもとっても美味しそうですね!「10年前、同じフィレンツェに文化庁から派遣されて研修していた時には、誰にも教わらなかった技法。」その土地に生きていらっしゃるから経験できる経験ですね。マエストロの壁画テクニックに興奮されていらっしゃる様子がとても良く伝わってきます。私もたまに似たような経験をすることがあります。音楽院生の時には教えてもらわなかった、その時には見えなかった、音楽のもっと奥深いものを、全く違う場面で発見することがあります。世の中には様々な要素が転がっているんだなって思います。
by newyork (2007-09-12 12:26)
ボルゲリ・・・
日本では、あるワイン雑誌に載っていたので、目をつけてました。
それにしても、素晴らしいお料理ですね。
dolciもスゴイ!!
Firenze行く時は、絶対に訪れたい!!
by (2007-09-12 21:21)
絵が生きているってこういうことなのかな~と思います
その空間に抗うことなく 新たな空間を作りだしている
こんなところで腹を満たすって最高ですね
by (2007-09-13 08:56)
朝になったら違う絵に。とか せっかく描いた絵を変えてゆく・・・
やはり全体のバランスに合わせる為なんでしょうか? 好み?。
壁画もいいけど・・・お料理にも興味あり!”です。
by お散歩爺 (2007-09-13 19:58)
わっ、きれいなブルーになりましたね!
ガルガに行ってみたいです。
by TaekoLovesParis (2007-09-14 00:15)
ガルガの壁画、完成までを追ったドキュメンタリーが
すごくすごくおもしろかったです!
いろんなアーティストの方の完成が、トルコブルーでひとつになって、
でも、それぞれに個性があって、すごい!!!
なんて、批評しちゃってすみません。生意気に。
ご飯もおいしそうです。フィレンツェに行ったら、
必ず、ガルガに行きます。
by (2007-09-14 18:04)
ガルガ!
懐かしいですッ。
特別なときにいく店でした(もう10年もまえの話ですが)。
ガルガに洋一さんの壁画があるなんて……!
いまは無理だけれど、いつか絶対に行きます!!
by せこゆみ (2007-09-15 19:25)
ガルがノのレストランで、壁画をみながらの食事、素晴らしい
と思います。大繁盛かな?
by uk (2007-09-16 15:59)
とりあえず完成おめでとうございます♪^^
これからどんどん増えていく登場人物、楽しみですね~♪
料理もすっごく美味しそうで食べた~~い!(≧▽≦)ノ
by ツカ (2007-09-16 21:54)
褐色からこんなに鮮やかなブルーになるのですね!
素敵な壁画完成(!?)おめでとうございます♪
そんな中で食べる料理はひときわおいしそう〜☆
by ぴい (2007-09-16 22:10)
すんごぃ力作ですねぇ^^
クスクスってあんまり好きじゃないけど。。。
本場で食べると美味しぃんですねぇ@@!
by Bijoux (2007-09-17 22:49)
今回もずっと製作の過程を見せていただいて
とっても楽しかったです♪
ライトアップされた感じがまた雰囲気でてステキですね~
でも何より皆さんの楽しそうな温かい時間が伝わってきました~
いいなぁ~
by シェリー (2007-09-17 22:56)
Buon giorno.Piacere mio .Sono amaguri. Abito a Nara e vicino a Asukamura.Ho fame..........Fa molto bello oggi.
Ci vediamo.
Arrivederci.
E difficile parlare italiano.
Ciao.
by jyoji-san (2007-09-18 09:24)
Grazie mille per leggere mio E-mail.
初めまして、突然下手なイタリア語でメイルを出したりしてすみません。イタリア語を独学で勉強しているのですが全く上達しませんので、勇気を出して本当に本場の方に通じてるのかメイルを送ってみました。(笑)
奈良在住のへんてこなイタリア人に間違われただけでも光栄です。
オーストリアに私の一押しの所があります。毎年行ってるのですが日本人を見たことがありません。それは静かで美しいところです。何故みんなここに来ないのか不思議です。・・・・シュタイアーといいます。ドナウ川ぞいのデルンシュタインで船を降り、ザンクトファレンタインまで行き乗り換えてシュタイアーへ(列車)・・・ふたつの川の真ん中に立っているロマンチックホテルは最高です!!
by jyoji-san (2007-09-18 21:14)
皆さま、コメントありがとう!
お返事あいかわらず超遅くなってますが、それに加えてここ数日、ADSLのトラブルで記事の更新もままならない状態。
ま、そのうち何事も無かったかのように回復するとは思いますが…。
というわけで、このコメントがupできれば奇跡に近いのですが。
また後ほど、お返事させていただきます。
とりいそぎ。
by plot (2007-09-22 04:15)
こんにちは。
実はフィレンツェの取材を考えております。
例によって弾丸ツアーの如きものになると思われます。
ガルガにも行ってみたいですけれど、銭のない私には厳しいかもしれません。
by りんこう (2007-12-09 23:04)